作業に没頭する方法

習慣をつくる

フローとは

人間がそのときしていることに、完全に浸り、精力的に集中している感覚 - フロー

「集中」ということについて考えるうえで、「フロー」という理論について学ぶことはとても参考になります。フローとは元々ミハイ・チクセントミハイという心理学者が提唱したもので「高い集中状態にある」ことを意味しています。

今回はフローの理論から、集中力を高める上で大切なことを紹介いたします。

何をするかが明確になっている

どんな活動であっても、人が深く集中状態に入るためには何を達成しなければならないかをその時々で知っておく必要がある。- 1

「何をするかが明確になっている」ということは「目標立てること」と似ていますが、似て非なるものです。これはつまり「現在行うべきタスクが明らかになっている」ということなんです。

例えばロッククライマーは「崖の頂上に登る」ために「落ちることなく次の一手を打つ」ことが目下必要なタスクです。また、チェスのプレイヤーにとって「ゲームに勝つこと」はあくまで最終目標であり、彼らの行うべきタスクは「最良の一手を打つ」ということです。

つまり彼らにとっては常に「現在行うべきタスクが明らかになっている」と言えます。なぜチクセントミハイが「何をするかが明らかになっている」ことを強調したかというと、彼は「目標を目指す過程にこそ、本当の楽しさはある」と考えているからです。

本当の楽しみは目標を達成することではなく、そこに至るまでの道のりにある。- 2

仮に何か大きな達成をしたとしても、私たちの人生は続いていきます。多くの人が「大金を稼ぐこと」や「高い地位を手に入れる」のような目標に気を取られ、そこに至るまでの過程を楽しめていないように感じます。

しかし私たちの本来目指しているものは「幸せに生きること」であるはず。であれば「何かを達成すること」よりも「その過程を楽しむ」ことが大切ではないでしょうか?なぜなら何かを達成した喜びは長くは続かないからです。

もし私たちが「大切なことは成功することではなく幸せになることである」ということに同意するなら、重要なのは目的地ではなく、そこに至るまでの旅路であると言って何の差し支えもないだろう。- 4

フィードバックが即時的である

私たちはやっていることがうまく進んでいるかどうかをタイムリーに知ることができなければ、どんなことにも没頭することは難しいだろう。- 5

「フィードバックが即時的」とは「自分の行っていることが前に進んでいるかどうかすぐにわかる」というような意味です。そしてこの状態であることは集中状態を生み出すためにとても重要です。

例えば先のロッククライマーの場合、「落下していないかどうか」というフィードバックは彼らが一手を打つたびに分かります。

また、プログラマは基本的に数行のプログラ厶を書くたびに実行し、それが正しく動作するかを検証します。そして正しくプログラ厶を記述できていれば期待通りの動作をし、間違っていれば想定外の動作をします。つまり「正しく動作しているかどうかすぐにわかる」という点でプログラミングは「フィードバックが即時的である」ということができます。

チクセントミハイは「自分にとって重要である」と知ることがフローの体験には必要だと主張します。

フロー体験による完全に集中した感覚は、大部分が「自分のやっていることが重要である」と知ることに起因している。- 6

そしてフィードバックが即時的であることによって、自分のやっていることが「自分にとって重要である」かどうかをすぐに知ることができます。逆に結果がすぐにわからない状態だと、自分のやっていることが正しいかどうかを知ることができないわけですから、やっていることが「自分にとって重要」かどうかをすぐ知ることができなくなってしまうわけです。

以上のような理由から「フィードバックが即時的である」ことは重要なのです。

目標とスキルのバランスが適切である

私たちは「このタスクならできる」と信じていると、より簡単に集中状態に入ることができる。- 7

目標とスキルのバランスが適切であるとき、私たちは目の前のタスクに対して「できる」という自信を覚えます。集中状態に至るためには、この「できる」という感覚が必要だとチクセントミハイは主張します。

私たちが物事を行う上で、それが難しすぎると「できるかな」という不安を感じます。また、それが簡単すぎると「つまらない」と感じます。そして多くの場合、不安や退屈は私たちを集中から遠ざけます。

どちらの場合も私たちの集中は目の前のタスクからずれてしまう。つまり不安に駆られた人は結果に対する心配によって妨害され、退屈を持て余した人は何か別のすることを探し始めてしまう。- 8

ですので、私たちの注意が目の前のタスクから逸れないためには「目標とスキルのバランスが適切であること」が必要なのです。チクセントミハイはこの「適切である」状態を次のように表現しています。

フローはチャレンジとスキルが高度である、かつ等しいときに起こる。- 9

まとめ

今回は「集中力を高める」ために必要なことを「フロー理論」を参考に紹介いたしました。私たちは普段「没頭」したり「夢中」になったりする経験があるはずです。そしてそれらの経験は私たちに充実感を与えてくれます。今回紹介した「フロー」の理論はそれらの経験を再現する助けになるための理論です。ご興味のある方はフローに関する文献を読むことがおすすめです。

参考 :

Good Business: Leadership, Flow, and the Making of Meaning(2003) Mihaly Csikszentmihalyi Penguin Books.

  1. For a person to become deeply involved in any activity it is essential that he know precisely what tasks he must accomplish, moment by moment.

  2. true enjoyment comes from the steps one takes toward attaining a goal, not from actually reaching it.

  3. People often miss the opportunity to enjoy what they do because they focus all their attention on the outcome, rather than savoring the steps along the way.

  4. If we agree that the bottom line of life is happiness, not success, then it makes perfect sense to say that it is the journey that counts, not reaching the destination.

  5. It is difficult for people to stay absorbed in any activity unless they get timely, “online” information about how well they are doing.

  6. The sense of total involvement of the flow experience derives in large part from knowing that what one does matters, that it has consequences.

  7. It is easier to become completely involved in a task if we believe it is doable.

  8. In either case attention shifts from what needs to be accomplished—the anxious person is distracted by worries about the outcome, while the bored one starts searching for other things to do.

  9. Flow occurs when both challenges and skills are high and equal to each other.

本記事の日本語訳はミニマメンタルによるものです。
画像:Unsplash.com

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