「心身症」とはなにか

メンタルヘルス

概要

心身症とは、簡単に言うと、ストレスが原因で身体の調子を崩してしまう症状や病気のことです。みなさんにも1度は経験があるのではないでしょうか?例えば、仕事のことを考えると胃がキリキリするとか、辛い出来事ばかり続いて全身の倦怠感がひどいなど、こころに負担がかかった時に生じる身体の不調のことです。

「病は気から」などということわざもあるように、こころと身体の状態は相互に影響し合っているのです。

心身症ってどんな病気?

心身症とは

日本心身医学会によると心身症とは、「身体疾患のうちその発症と経過に心理社会的因子が密接に関与し、器質的ないしは機能的障害の認められる病態を呈するもの。ただし、神経症やうつ病などの精神障害に伴う身体症状は除外される(1991)」(引用:心身症の子どもたち ストレスからくる「からだの病気」)と定義されています。

ざっくりとした表現で言い換えると、「ストレスが原因で発症し、その症状が継続、または悪化した身体の病気」のことです。

心身症の原因はこころのストレスですが、身体に症状がでる身体の病気です。

しかし、心身症の原因はこころにあるため、身体の治療だけをしていても根本的な治療にはなりません。なかなか回復が進まなかったり、再発の原因になってしまいます。そのため心身症では、こころと身体を同時に治療していくことが必要になります。

また、心身症はこころの問題が原因で生じる、様々な身体の病気を含んだ総称となります。心身症にはいくつもの身体の症状、病気があります。

心身症と呼ばれる症状と病気

内臓の働きなどを主に調整し、こころと身体のバランスを保つ役割をしているのが自律神経です。自律神経は交感神経副交感神経からなります。交感神経は活動や緊張している時、そしてストレスを感じている時に働き、副交感神経は休息やリラックスしている時に働きます。

ストレスから自律神経のバランスが崩れ、交感神経が優位に働くようになると、不安や焦燥感が高まると同時に、血圧や呼吸数の増加などの身体の変化が生じます。その結果、一般的な心身症の症状として、頭痛や胃の痛み、下痢や便秘などが起こるようになります。

そして、このような身体の状態が継続してしまうと、普段自律神経がコントロールしている各臓器や部位に症状が発生しやすくなってしまうのです。

心身症の代表的な症状、病気
・胃・十二指腸潰瘍
・胃炎
・過敏性腸症候群
・月経困難症
・偏頭痛
・緊張性頭痛
・自律神経失調症
・気管支喘息
・せき
・高血圧症
・狭心症
・心筋梗塞

心身症には、以上のような症状や病気があります。ここにあげたのは、心身症に見られる病気の一部であり、医師から病気の原因がストレスと診断されれば、それらはすべて心身症と呼ぶことも出来ます。

どうして心身症になるの?

ストレスを受け身体に症状が出る

わたしたちは日々たくさんのストレスに晒されながら日常生活を送っています。ストレスと聞くと、ネガティブな印象をもつ方もいらっしゃるかもしれませんが、適度なストレスはこころと身体に“活動の張り”をもたらすため必要なものです。

しかしながら、強いストレスが継続的に続くことで、心身症の症状や病気の原因になることがあります。

ストレスには様々な種類のものがあります。ライフイベントの変化もストレスが生じやすく、代表的なライフイベントとしては、出産や結婚、離婚、進学、就職や転職、または介護などがあげられます。日常生活上でストレスとなる出来事といえば、学校や職場、家庭での人間関係のトラブル、仕事上の業務の負担などがあるでしょう。

このようなライフイベントや生活上で生じる出来事が、本人にとってこころの負担となり、堪え切れなくなれば、身体の反応として症状が生じてきます。

ストレスによって病気になる原因には、3つの要素が考えられるそうです。

① 適応できる範囲を超えた強いストレス
② その人の性格や性質がもともとストレスに弱い性質をもっている
③ 周囲の理解や支持など、外部の対応や反応
(引用:心身症の治し方がわかる本 名医の図鑑)

同じライフイベントを経験していても、心身症としての症状が出る人と出ない人がいるのは、その人本来の性質的な問題や、周囲の人にどれだけフォローしてもらえているかといった環境の問題が絡んでいます。

心身症になりやすい性質

先ほど、その人本来の性質的な問題が、心身症を発症する原因のひとつとご説明しましたが、その性質とはどんな性質なのでしょう?

心身症になりやすい性質として失感情症(アレキシシミア)失体感症(アレキシソミア) という性質があります。引用から説明しますと、

・失感情症:自分の感情を認識することが苦手なため、身体の症状として現れてしまう、心理的ストレスに気づきにくい

・失体感症:生命維持機能が危なくなると出る眠気、空腹感、疲労感、喉の渇き、筋肉の張り感、呼吸亢進などの身体のサインに気づかないで、危険な状態になり身体が赤信号になって、初めておかしいと気づく
(引用:心身症―身体の病からみたこころの病―)

とあります。自分の感情に気づきにくいというのは、たとえば上司に嫌味を言われ続けたストレスから、不安が高まり、胸の息苦しさから、会社を休んでしまったとします。しかし、嫌味を言われ不安が高まっているという認識がないなどです。

また、同時に失体感症があると、その時生じた息苦しさになかなか気づくことが出来ず、過呼吸が生じたときにはじめて身体の不調を感じることとなります。

失感情症や失体感症があることによって、ストレスを感じている自分の気持ちや、身体の症状を見逃し続けてしまい、結果として症状が進行したり、発見が遅くなってしまうことがあります。

心身症かもしれないと思ったら

どこの科に相談?

身体の症状から病気を疑い、病院を受診したが身体の方には原因が見つからない、身体の治療を続けているがなかなか回復しないといった場合があります。そして、自分でストレスを感じている心当たりがあったり、あるいは医師からストレス性を指摘されたりすれば、『心療内科』 を受診してみましょう。

心療内科と似た科に精神科、神経内科があります。心療内科、精神科、神経内科の違いを引用しますと、

・心療内科:心身症など、身体にでている症状を心身両面から診察し、診療していく科

・精神科:神経科や精神神経科とも言い、うつ病や統合失調症など心の病気全般を治療
神経内科:脳神経外科とも言い、脳梗塞や認知症のような、脳や神経の器質的な病気を治療するところで、心の病気は扱っていない
(引用:心身症―身体の病からみたこころの病―)

とあります。
心療内科と精神科は、身体にでる症状を心身両面からみるか、あるいは心の病気としてみるか違いはあるものの、その境界は比較的あいまいです。そのため、精神科で心身症をみることもありますし、心療内科でうつ病をみることもあります。

心身症の治療と対策

心身症の治療は、身体に生じている症状への薬物療法と、こころに生じた問題への薬物療法や心理療法、そして生活療法などがあげられます。

また、自分の症状がどのようなストレスが原因となって生じているのか、医師やカウンセラーにしっかりと話を聞いてもらい、自分の気持ちを整理することも大切です。 思い当たるストレスがあれば、その状態を解消すべく対応をとっていきます。たとえば、会社の業務が負担になっていれば、配置換えや業務の量を減らしてもらうなどの、仕事量の調整を行うことが出来ます。

また代表的な心身症の対策として、リラックスの方法を自分なりに身に付けることも役に立つでしょう。

リラックス法としては軽い運動や、音楽を聴いてゆったりとした時間を過ごすこと、睡眠を十分とるなど様々ありますが、自律訓練法やマインドフルネス瞑想といった呼吸や身体の動きを直接コントロールすることで心身ともにリラックスした状態を作り出す方法もあります。

マインドフルネス瞑想の紹介

マインドフルネス瞑想はリラックス法のひとつとして注目されています。マインドフルネス瞑想を実践し、呼吸に意識を向けコントロールしていくことで、自律神経が整い、心身ともに調子が回復していきます。

臨床心理学116第20巻第2号でのマインドフル瞑想における「こころ」と「からだ」の記事ではその際のこころと身体の感覚について次のように表現されています。

...息を吸い始める前の微妙な息苦しさや、息をどこまで吐き切るかという感覚を繊細に意識するようになると、呼吸はゆっくりと落ち着いてゆく。
また、呼吸によるマインドフルネスによって集中力が高まってくると、自然に心の曇りが晴れて爽やかになり、生命活動のエネルギーが歓喜として感じられるようになる。
(引用:臨床心理学116第20巻第2号)

そして、マインドフルネスの実践がすすむと、それまでは、獲得や競争による興奮に基づいた自我の満足体験を幸せだと思っていたのに対して、欲望や怒りの興奮を離れた静けさや安らぎのなかに、別なレベルの幸せがあるかもしれないことに気づくそうです。(参考:臨床心理学116第20巻第2号)

マインドフルネス瞑想によって、こころの雑念が受け流され、そして呼吸が深く整えられることによって、集中力が高まり、こころと身体の調子が整ってきます。今までストレスを抱え込み緊張していたこころと身体が、リラックスすることでフラットとなり、今まで感じることの出来なかった小さな感情(ここでは幸せな感情とあります)に気づくことが出来るようになるのです。

このようにマインドフルネス瞑想を行うことで、こころと身体が安定した状態へと導かれていきます。

まとめ

こころと身体は深く関係しています。心身症は、ストレスが原因となって身体に症状がでる病気であり、軽いものであれば誰しもが経験したことがあると思います。

軽い症状のときに自分で身体の異変に気付くことが出来れば、ストレスを減らすよう睡眠をしっかりとったり、リラックス法を取り入れるなど、進行する前に様々な工夫が出来ます。

「最近疲れがなかなか回復しないな」とか「肩が凝って仕方ないな」などちょっとした身体の不調が続く場合は、こころの疲れも疑って、普段よりも多めに休息をとったり、気分転換を行うなどして、上手にストレスと向き合っていくことが大切になります。

この記事を書いた人

匿名希望

地方在住、病院勤務の公認心理師&臨床心理士です。
悩んでいる方のお手伝いができるよう日々勉強しています。

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