「HSP」とはなにか

HSP

ひといちばい「繊細すぎる」HSP

今から10年ほど前に、「鈍感力」という本がベストセラーになりました。「鈍感」と聞くと、その言葉に対してあまりいいイメージを持たないかもしれません。

かの有名な小泉元前総理は、政権の支持率を気にする当時の政府幹部に対してこのように言いました。

「何をやっても批判されるからいちいち気にするな」 - 『鈍感力』(集英社)

この言葉の通りにいれたら、どれだけ楽に生きられることかと思いませんか?世の中には、人一倍、「いちいち気にしてしまう」人がいます。それが、Highly Sensitive Person、いわゆるHSPと言われる人々です。

「病気」ではなく「気質」のHSP 

始めに、HSPは人の気質をあらわす名称です。 元々、アメリカの心理学者であるアーロン博士が1996年に提唱したもので、人口の15%から20%はHSPの気質を持つといわれています。(参考:ハイリー・センシティブ・パーソン)

Highly Sensitive Person、日本語訳では「ひといちばい繊細な人」という意味に取れますが、一体どのような特徴があるのでしょうか?以下に、その特徴を述べます。

【Depth of processing】考え方が複雑で、深く考えてから行動する
・一を聞いて、十のことを想像し、考えられる
・調べ物を始めると深く掘り下げ、その知識の広さを周りに驚かれる
・お世辞や嘲笑をすぐに見抜いてしまう
・物事を始めるまでにあれこれ考え、時間がかかる
・その場限りの快楽よりも、生き方や哲学的なものごとに興味がある

【Overstimulation】刺激に敏感で疲れやすい
・人混みや大きな音が苦手
・友達との時間は楽しいものの気疲れしやすく、帰宅するとどっと疲れている
・映画や音楽、本などの芸術作品に感動して泣く
・人の些細な言葉に傷つき、いつまでも忘れられない
・些細なことに過剰なほど驚いてしまう

【Empathy and emotional responsiveness】人の気持ちに振り回されやすく、共感しやすい
・人が怒られていると自分のことのように感じ、傷ついたり、お腹が痛くなったりする
・悲しい映画や本などの登場人物に感情移入し、号泣する
・人のちょっとした仕草、目線、声音などに敏感で、機嫌や思っていることがわかる
・言葉を話せない幼児や動物の気持ちも察することができる

【Sensitivity to subtleties】あらゆる感覚がするどい
・冷蔵庫の機械音や時計の音が気になってしまう
・強い光や日光のまぶしさなどが苦手
・近くにいる人の口臭やタバコの臭いで気分が悪くなる
・カフェインや添加物に敏感に反応してしまう
・肌着のタグなどチクチクする素材が我慢できないほど気になる
・第六感がはたらき、よく当たる

- HSPって知っていますか?

これら4つの特徴の頭文字から、HSPの特徴を 「DOES(ダズ)」 と言います。DOESの4つのうち、1つでも当てはまないものがあった場合はHSPではないとアーロン博士は言っています。特徴を見ると、いかにHSPの人々が敏感な性質を持っているのか、日々の生活の中で、どれだけストレスを抱えやすいかがわかると思います。

ストレスを抱えやすいHSPに有効なのは「問題解決」という視点!


繊細で傷つきやすいHSPの人々が抱えるストレスはどのように対処することが有効なのでしょうか?これは、ストレスに対する 「問題解決型」 の視点が重要だと指摘されています。

ストレスへの対処法は一般的に、「問題焦点型」と「情動焦点型」に分けられています。問題焦点型は、ストレスへの対処法の1つです。一方で情動焦点型は、ストレスによって生じた情動の制御に焦点を置く対処法です。

人より敏感な感覚を持つHSPには、問題焦点型のストレス対処法が効果的であると言われています。問題焦点型の対処法では、ストレッサー自体を取り除くことが目的です。ストレスの原因に対して、どのように対策が取れるかを考えたり、あるいはそのことについて周囲の人にアドバイスを求めるなどもいいでしょう。

参考:
一般的な抑うつ対処はHighly Sensitive Personに有効か
コーピングとは?-認知療法-

「胆大心小」からみるHSPという特性の活かし方

ここまで読んで、HSPの人に対してどのようなイメージを持ったでしょうか?「敏感すぎて大変そう」、「ささいなことを気にしすぎじゃないか?」と思う人もいるかもしれません。

HSPである人々は、人よりも敏感、かつ繊細なこころを持っています。そして、HSPの人々を苦しめるのは、「周囲の無理解」です。 誰しもが自分のことをわかってもらえず、心無いことを言われたら悲しくなるものです。

例えば、自分が何かに非常に悩んでいる時に他の人から「そんなの思い過ごしだ」と言われたらどうでしょうか?「そう言われたとしても思い過ごしじゃない!何もわかっていない!」と言いたくなりませんか?HSPの人はそのような思いを抱えやすいのです。

何かを細かく気にすることって、実はそう悪いことでもないのです。 「胆大心小」という言葉があるように、大胆でいても細かい注意を払うことが重要なのです。

そういったことができる人は、リーダーの器があると思います。細かい注意、気配りができない人間は信用できず誰もついてきません。ですが、周囲のあらゆることに繊細に気を配りながらも前を進んでいける人間って魅力的で、後をついていきたくなると思いませんか?

「物事を恐れずに進みながらも、細かな気を配る。」相反するような概念かもしれませんが、両立はできます。HSPという特性は、生まれ持った「才能」でもあるのです。 その「才能」を発揮しながら、時に物事を恐れずに進むこと、HSPの人々は「大胆さ」を意識すると良いのかもしれません。

この記事を書いた人

匿名希望

東京にある某大学の法学部を卒業後、大手保険会社に数年勤務。
仕事をする傍らでメンタルヘルスについて興味を抱いたことがきっかけで、一念発起して心理系の大学院に入学。
1人でも多くの人に心理学やメンタルヘルスの知識を広めるため、ライターとしても活動している。

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